SEIKO キングセイコー KING SEIKO 25石 盾メダリオン 手巻
さて今回は、約50年近く経つ キングセイコーについての買取及び市場での評価について簡単にではあるが取り上げておきたい。
下記の内容は少し前に取り上げた 参照:【 SEIKO:グランドセイコー GS HI-BEAT 自動巻 47年前のジャンク品が約 39.2倍の価格で買い取るぐらいブランド力をいまだに誇る 】と前後する時期に取引をした内容である。
このキングセイコーについても、高額に取引されているのを、買取査定に出す際に、調べていくうちに理解していった。
個人的に、ヴィンテージな腕時計の市場的価値もあまり知らずに、ガンガン使用してきたのだが、改めてその価値を再発見できたのである。
キングセイコーは同モデルのなかで、最もバランスの良い最高級モデル
セイコー不動の人気モデルであるキングセイコーである。個人的に所有していたが、少し前より調子が悪くなり、売却を検討していたモデルである。基本的なスペックについては以下となる。
- 型番:4402-8000
- 製造年代:1966~70年頃
- ムーブメント:手巻25石/5振動
- ケース径:約 35 mm
- 風防:プラスティック
- 仕様:日付表示/3針
- 防水性能:防汗程度
であり、このモデルの基本路線は、グランドセイコーの流れを汲みながら、いくつかのマイナーチェンジを行い正常進化したのが、キングセイコーである。
グランドセイコーがフラッグシップモデルであれば、その血統を受け継いだ次世代モデルとして登場したとも言えるモデルである。
さっそく「オークファン」で相場を確認していこう。上値が約 90,000円、下値が約 70,000円ぐらいになるようだ。これに関してはしっかりと稼働している事が条件である。
故障していたり、オーバーホールが必要で動かないモデルは、買取査定相場よりもさらに低い価格となるだろう。相見積りを取り、オーバーホール費用等を引いた額を算出してもらった。
今回の買取査定額は、約20,000円前後となり、少し安い気もするが、状態もそれほど良くなく、キズや擦れ、汚れも相当だったので、メンテナンス費用も考えると、それなりに満足している。
国産アンティークの相場もそうだが、ブランドの価値の割に、安価な相場であり、年々上昇していて成長を感じられる。
そんな中で、比較的安心して投資ができるブランドのひとつがセイコーである。
グランドセイコーも何本か保有しているが、キングセイコーの方が個人的には使いやすかった。所有に関しては祖父や親父から受け継いだモノである。
前回、グランドセイコーモデルについて少し取り上げたが、参照:【 SEIKO:グランドセイコー GS HI-BEAT 自動巻 47年前のジャンク品が約 39.2倍の価格で買い取るぐらいブランド力をいまだに誇る 】この時代の時計はシンプルでとにかく使いやすい。
もはや約50年程度経ったアンティーク品であるが、現在でもクールでカッコいい。さらに定番の人気を誇り、高値で取引されており、その希少性は抜群。当時ものを保有している人も少ない。
当時の価格よりも額面は同じ程度か、より高く取引されている事から、プレミア的な価値が担保されている国産でも非常に価値のある腕時計が、キングセイコーである。
盾メダリオンは、現在でも通用する優れたロゴデザインであり、所有欲をくすぐる。
またこのキングセイコーの 4402-8000 モデルは、最もバランスの良い使いやすいモデルであると個人的には見ている。
日常使いには最適であり、時間を確認するのにも、高級時計に見られず 「レアモノで一見高級ということが分らない」 というのを自分だけで楽しんでいたわけである。
グランドセイコーよりも、精度調整等を簡略化してより量産傾向であるが、機械の精度及び設計が秀でているので、割と最近まで使用できた。
当時の金張りというのも現在では、成金感、暑苦しい雰囲気を感じる人も多いだろうが、今見ると適度にレトロ感が醸成され、あまりギラギラしておらず、ケースなどのスレや傷、退色などで、逆に良い風合いが出ている。
立体的でシンプルなインデックスとカレンダー表示、オーソドックスで基本をしっかりと押さえたデザインとプロポーションは安心感を与える。
最近は多くの腕時計ブランドで、ドレス路線が踏襲され、アンティーク・デザインで、基本に忠実なシンプル・デザインの腕時計が減り、メカニカルでハイテク要素満載の腕時計が多く、神経を使う事が多い。
ムーブメント「4402」モデルは、セイコークロノスのベース設計にあり、その際に高精度調整しブラッシュアップして市場投入した傑作である事も所有欲をくすぐる。
また第2精工舎の傑作と言われる所以であり、高耐久性のあるバランスの良い優れたモデルであると、使い続けて認識した次第である。
ヴィンテージながらその稀少性と人気から二次市場は右肩上がりの成長基調
実際、約50年程度経過しているが、現在にはない不思議な雰囲気である。国産でかつレアなアンティーク時計は、現在では非常に希少であり、日本製というのも、様々な製品においては、昨今では不可能に近い。
戦後日本の時計の歴史を刻み続けた優れた逸品である。今回は寿命が来てしまい個人的に売却してしまったが、修理という手もあり、悩ましい選択であった。
二つのデータは、「オークデータ 」から、グランドセイコー及びその他のカテゴリーで、約 5 年間の総落札額及び平均落札額である。
総落札額は、約 5 年ほどで、その他のカテゴリーに関しては、約 1.25 億円と驚異的な伸びを示している。グランドセイコーも、約 7,500万円と迫る勢いである。
今回のキングセイコーは、グランドセイコーの流れを汲んでおり、同カテゴリーに多数出品されていることから、正規のグランドセイコーも含まれていることも合わせて知っておいてもらいたい。
またその他のカテゴリーにも多数出品されているので、両方のデータを調べてみた次第である。
ただ、上記の総落札額を見ても、綺麗な右肩上がりの成長である。約5年前には、約 2,500~3,500万円程度しかなかった市場が、両カテゴリーとも 約 3.0 倍以上の伸びを示している。
また、平均落札額は、その他カテゴリーに関しては、約 10,000円前後で横ばいに推移しており、コンスタントに数が出ており、急成長しているが、あまり価格は伸びていない。
一方、グランセイコーカテゴリーは、約 20,000 円付近を上下していたが、年々上昇しており、綺麗な右肩上がりである。現在では、約 2.5倍の 約 50,000円あたりに迫る勢いである。
カテゴリーのセクターで、グランドセイコーの総落札額と平均落札額が上昇傾向で、取引数が約 2,000件前後と一定という事は、1 点あたりのモデルがプレミア化していることを示している。
比較的、狭い市場である国内のオークション市場を見ても、グランドセイコーのプレミア化について一旦を数字によって垣間見れる。
数年前ぐらいまでは、日本の老舗ブランドの中で、セイコーブランドは、リーズナブルで狙い目のカテゴリーであった。
それが現在のプレミア化で、価格は高騰しており、手に届く高級品ではなくなる事が予想されるのだ。
上記のデータを見ても、さらに長期間保有してもよかったわけで、現在でも大切に使ってきたが、実のところ多くのモデルを保有してしまった事。
また、メンテナンスコストや高騰市場での波なども考えると、コレクション整理と割り切り、買取を依頼した次第である。
この際だったので、保有している他のモデルも、オーバーホールに出して、業者さんに依頼を掛けお願いした。
現在、非常に高額なだけで、ドレス路線が高級とある種勘違いをしている世代には、古ぼけた時計を付けていると思われているだろう。
時代を経ても、価値のあるモデルというのが自分の中では本当の価値を持っていると思っている。
自己満足かもしれないが、市場的価値が非常に高いということが、ある程度の自信となるのだが、自分の好みは大体が 「時計通」 ぐらいしか理解されない。
ただ知っている人からは、かなり羨ましがられた。ブランドというのは、まさに時代を経ても顧客から支持され続けると言うことがいかに大事なのか、今回多くの人に教えてもらった気がしたのである。
これからも、本当に価値のあるヴィンテージ腕時計の人気が、さらに盛り上がりを見せる事であろう。