ロレックス:既存の常識を打ち破るブランド戦略で驚異的な人気と価格上昇で最も有名になったカリスマブランド
創業年=1905年/創業者=ハンス・ウィルスドルフ/創業地=イギリス/ロンドン:腕時計の将来性をいち早く見抜いていたハンス・ウィルスドルフにより、1905年に創業。精度はもちろん、要求される性能を満たすための腕時計開発を積極的に行い、1926年に世界初の完全防水ケース「オイスター」を完成させる。1931年には360度回転式ローターを採用した自動巻上げ機構「パーペチュアル」を、1945年には午前12時に日付が瞬時に切り替わる「デイジャスト」を開発。腕時計の実用性を飛躍的に高めていった。1950年代以降は、プロフェッショナル向けの製品も積極的に開発し、「エクスプローラー」「サブマリーナー」「GMTマスター」「コスモグラフ デイトナ」など、現在でも続く人気ウォッチを展開。これらはここ数年で目覚ましい進化を果たしており、現在の技術に見合った最高峰の実用時計としての地位を改めて確立している。参照:腕時計の教科書
ロレックスデイデイトは1956年に誕生した 18 ct ゴールドまたはプラチナのみで展開されるこのモデルは、ダイヤル上の小窓に日付だけでなくフルスペルの曜日も表示する。世界初の腕時計であった。特別にデザインされたプレジデントブレスレットを装備するデイデイトは、世界中のエリートのための究極の逸品であり続けている。参照:ロレックス 公式:オイスター、36 mm、 ホワイトゴールド
- 型番:Ref 118239NG
- ムーブメント:Cal 3155 /オートマ 自動巻
- シリアル:D 番 / 05年
- 風防:サファイアクリスタル
- ケース径/素材:オイスター 36 mm / 18 CT ゴールド
- ダイアル:マザーオブパールダイアル/ブラックシェル
- インデックス:ダイヤ 10P
- ベルト:プレジデントブレスレット
- 腕回り:約 18.0cm
- 付属品:保証書
- 定価 (当時):約 4,000,000円前後
ロレックスのなかでエグゼクティブのための究極の逸品といわれた最高級モデル
驚異的なリセールバリューで、長期間に渡って安心して投資ができ、その中古市場でも抜群の人気を誇るロレックス。
さて、そんな ロレックス デイデイトの機能を簡単に説明していきたい。
まず、下の写真の ① 番目は、曜日表示をあらわしており、現在多くのブランドでは当たり前の表示であるが、1956 年の初登場より、世界初の文字板に曜日をフルスペルで表示する機能を装備していた。
世界各国のラグジュアリー層から愛用されている曜日表示は、このモデルの代表的装備であり、様々な言語から選択が可能である。
②番目は、スケジュール管理は、毎日必要となるので、数字で表示される日時表示もあわせて必要となるのである。
大きな特徴として③番目の外装面である。ギザギザでエレガントな演出を施したベゼルの装飾が目立ち、フルーテッドと呼ばれるロレックスのドレス系モデルの代表的な装飾である。
誰がみても、ロレックスデイデイトモデルであることが、瞬時にわかるこれらの大きな特徴は、ロレックスが導入した正統性のある機能とデザインなのである。
なぜ、今回このモデルを紹介することになったのか、簡単にであるが経緯を説明しておきたい。
いまから20年前以上前、私の勤務していた会社に、研修生として来日していたブラジル系アメリカ人の知人が、日本で技術を習得し、母国である米国に帰り、艱難辛苦を経て、ビルダーとして成功を収め、比較的富裕層となったようなのである。
その成功の証、自分へのご褒美として、ロレックスのフラッグシップモデルを探しているということで、少し前であるが連絡をもらったのである。
現在運営しているこのブログのファンということで、前回ロレックスのモデルをいくつか紹介したのだが、それを読んで、保有しているいくつかのロレックスのモデルを譲っていただきたいと言ってきたのである。
このモデルは、10年以上前に手に入れたものだが、いくつかのモデルを含め、大半のモデルを譲渡したり、買取ってもらったり、委託し販売代行をしている。
現在、業者を通じて販売代行してもらっている同モデルを紹介したところ、すぐにでも欲しいという事で、日本に休暇旅行をするので、来日して直接購入したいと打診してきたのである。
まさに「 YOUは何しに日本へ?」である。今回は、この同モデルがどうなったのかとモデルの魅力などを簡単にではあるが、記しておきたい。
抜群の中古市場での評価、需要と供給の関係が相関、定番人気で付加価値も高く、現在は高騰気味
さっそく「オークファン 」で市場をチェックしていこう。同モデルについて、ここ 5 年間の高額価格帯を取り上げている。
約 1,700,000~2,190,000 円前後で取引されているのが分かる。比較的状態が良く、新品仕上げ済モデルや美品の場合となっている。
ロレックスの場合、新作よりも旧作の方が高騰しやすく、需要と供給の関係でプレミア化する場合が多いが、それは主にスポーツ系のモデルの話である。
ロレックスの中でも、超高額のフラッグシップモデルについては、大きな変動もなく、プレミア化することはあまりない。
つまり、変動の無いフラッグシップモデルは、将来の値上がり益を期待して、転売する投機目的で購入されることは少ない。
エグゼクティブやラグジュアリー層の最低限の身だしなみとして、純粋に金銭的価値を超えたところで、流通し販売されているのである。
また同時に「旧オークデータ (2018.06.30終了) 」で、約 5 年間の総落札数をみていこう。約20~40件と非常に少ない取引数を形成している。
日本国内市場では、あまり見かけることがないのは、そもそもほとんど流通していないのである。同モデルについては、定番であるが人気と言う意味ではあまりないことが分かる。
元々、超高額のモデルを競るということは起こりにくく、オークションなどでは流通されにくいという事が、データでも示されている。
では、海外市場ではどうなっているのか。最近では便利なツールも多く出されているが、世界相場の最安値を一括検索できる「旧グローバルオークファン (2018.06.30終了) 」で、高額に販売されている販売記録をみていこう。
上記は、すべて「eBay」であり、アマゾンなどの販売記録はなかった。「eBay」のプラットフォームは使いやすく「PayPal」も便利なことから、B to C もしくは、C to C においては、オークション形式の「eBay」が独壇場である。
個人的にも「eBay」で世界中から買い物しているが、非常に便利である。
上記を見ていくと、主な主戦場となっているのは、アジアでは香港市場、大陸側ではアメリカ合衆国・カナダなどの北米市場で、活発に取引されているが、出品しているのは、同じ業者系であろう。
次に、ラグジュアリーブランドのお膝元イタリア・スペイン市場でも出品記録が見られるが、これも同じ業者系であるようだ。
アジア市場でハブとなるのが、香港であるが、中国を筆頭に東南アジア各国、最近では中東市場に渡り広範囲に取引が行われている。
日本で購入され、日本の中古市場の海外での販売ルートとなるのは主に香港に流され、アジア並びに中東では、偽物のリスクの少ない日本の中古品が特に珍重されるのである。ロレックスはその筆頭ブランドのひとつである。
最近では、楽天市場に中古買取業者が多く出品し、ECを運営しているが、同モデルの現在の価格帯は、約 2,100,000 ~ 2,400,000 円と比較的リーズナブルに手に届きやすい価格帯を形成している。
実は、こうしたECページを海外のバイヤーや免税が使える観光客などが常にチェックしており、訪日外国人の彼らが、直接店舗まで行き、現物をみてその場で購入したり、帰国後、ECでその商品を注文したりする。
そのためのECサイトであれば、掲載する意味は大きく、楽天市場はよりグローバルな越境ECとなりつつあるのだ。
驚異的で吸いつくような心地よい貴金属の質感、疲れにくい軽量感、堅牢かつドレス路線の正統的なデザイン
自社専用の鋳造場を所有するロレックスは、最高品質の18 ct ゴールド合金を鋳造する卓越した技術を誇る。 混合するシルバー、銅、プラチナ、パラジウムの分量により、イエロー、ピンク、ホワイトと、異なる種類の18 ctゴールドができる。 これらの合金の原材料となる極めて純度の高い金属は、最新設備を完備した自社研究所にて綿密に検査される。その後同じように細心の注意を払ってゴールド合金の製造と成型が実施される。 ロレックスの時計製造への飽くなき追求は、地金にも及ぶ。参照 ロレックス公式:デイデイト 36 WG 18 CT ゴールド
使う私たちがまず留意しないといけないのは、長く装着できるかどうかである。
円形の 3 連リンクのプレジデント ブレスレットと呼ばれる独自のブレスは、1956 年に市場に投入されたオイスター パーペチュアル デイデイトの発売に合わせ登場。
すべての時計の部品と同様に、人間の目による照査によって、完璧な美しさが保証されているという。
また、この ブレスレット及びクラスプの設計、開発、製造、製品に課される耐久試験には、最先端のハイテク技術が活用されているという。
個人的な装着感としては、これほど心地よい素材はなく、私の肌感と合っていると思った。SS (ステンレススチール) も悪くはないが、比較的肌が弱い私にとって、金の方が肌には合う。
また、疲れにくい適度な軽量感があり、ゴツい時計にありがちな重量というものをあまり感じず長く装着することができる。
特殊なノウハウとスキルが駆使された神秘性漂う艶めかしいパールダイアル
文字盤に使われているマザーオブパールは、神秘的で艶めかしい性質を備えている。
ロレックスのパールには、人工的な着色は一切行われておらず、特別なノウハウとスキルを駆使して、自然の美しさの保持を可能にしている。約10年以上経つが、その神秘的な輝きは失われていない。
採れる産地により、ピンク、ホワイト、ブラック、イエローと色彩が異なり、貝殻の採取部位によっても、色彩の強度や構造が変化するという。
少し暗い場所で使用したとき、少ない光で七色に変化する特殊な輝きを放っていたのが印象的で、パールの色のグラデーションは綺麗で、ダイヤの輝きと相まって、ドレスウォッチの真価を見たのである。
また、逆に明るい場所では、ブラック系に見えるこのパールは、ダイヤの輝きを助け、お互いを補完し、相乗効果の高いデザインの獲得に成功している。
ダイヤの装飾は、一見派手に見えると思われるが、逆にダイヤがないと、この組み合わせは生かせない。
イエローゴールドのような変な成金感はなく、外装はホワイトゴールドであるが、薄いブラック系に見えることで、マザーオブパールは、高機能性と高級感だけを際立出せることに成功している。
ロレックス独自開発・製造、自動巻き機械式ムーブ、キャリバー 3155
このデイデイトモデルは、ロレックスが独自に開発・製造した自動巻き機械式ムーブメント、キャリバー 3155 を搭載。3155の特徴は、曜日と日付を表示するカレンダーディスクのメカニズムを搭載していることである。
ロレックスの全ムーブメントには、スイス公認クロノメーター検査協会 (COSC) のテストに合格した高精度の時計にのみ与えられる、クロノメーター認定を受けている。
機械においては、比較的オーバーホールを行っていたので、非常に正確な時を刻んでいたので、あまり心配はなかった。
二度目のオーバーホールの際に、買取査定をお願いしたのも、キャリバーのメンテナンス時期と重なってきたことによる。
ただ、ロレックスのキャリバーは、数年以上オーバーホールしなくても、長期的な耐久性を保持する。
そこで今回は、調子が悪くないかどうかを診断する「ドック入り」を業者さんに任せ、販売代行を依頼したのである。
大きく損失が出ても適正な利益を皆で配分する心で臨む
上記は、「旧オークデータ (2018.06.30終了) 」で、ロレックス デイデイト ブランドによる 約 5 年間の平均落札額である。
平均落札額をみていこう。2013年頃まで、約 25万円程度であったが、その後急激に上昇。約100万円前後まで上がり、約50万円をベースに約100万円までを行ったり来たりしている。
これは比較的ヴィンテージモデルの出品が多く、一般的なモデルについての平均であり、約 75 万円前後が購入しやすい価格帯といえる。
今回、買取に出さず販売代行という手法を使い、長期的にかつ気長に売れるのを待つ売却戦略を展開したのであるが、まさか知人が欲しがるとは思っていなかった。
訪日する前から、販売ページを見せておき、リザーブを依頼。その後知人が来日したときに、委託先の販売店に招待し、直接現物をみて喜んでいた。長年欲しいと思っていたブランドであり、稀少なモデルが好きな彼には合っていたようだ。
現在の市場は、全体的に品薄状態であり、多くのモデルで、高騰相場の中にあるようだが、同モデルに関して言うと、あまり高騰は見られず、穏やかな市場なので、気長に本当に欲しいと思う人に譲りたかった次第である。
当時購入した中古価格が、約 2,800,000円前後で安く譲ってもらったのだが、今回買取をお願いした買取査定額が、約 1,920,000円前後で買取成立した。
今回は、約 880,000円以上の損失が出ているが、知人にプレゼントしたと思えばあまり損失は気にならない。何十年も使って、その程度の損失でれば御の字であり、良心的な買取業者さんには感謝している。
旅行中も、ロレックスを着けてあちこち地方を巡ったようだが、日本の文化に触れた良い旅行であったようだ。彼も良い休暇を過ごせたことであろう。
一時は、海外の業者に流して、名も知らないバイヤーにでも換金してもらおうかと思っていたが、知っている人に渡ってその喜んだ様子を見ると、より一層の満足感を得られるものである。
この手のブランドは、トータルで利益が出れば良いのであり、譲った相手や業者さんに適正な利益を提供する方が、後々有益に働くのである。