“シャネル・ブランド” 特殊定番モデルの真価は如何なものか
今回は、シャネル チョコバーライン エナメルバッグについて簡単にではあるが記しておこうと思う。
定番ラインの亜流的なポジションに見えてしまう同モデルであるが、比較的軽量で使いやすさを追求した秀逸なモデルである。
素材がエナメルレザーベースなので、傷やヘコミがつきやすく、スレも出やすいのが弱点である。
今回もまた、知人の女性からの依頼で、チョコバーライン エナメルバッグの売却における内容であるが、何度か使い簡易的なリペアが必要な状態だったので、簡単なリペアなどのやり方も併せて記録しておきたい。
【基本データ】
- 型番:A19271
- 開閉方式:ファスナー開閉式
- ライン:チョコバー
- 形状:ハンドバッグ(ミニボストン)
- サイズ:約 W32.0cm×H19.0cm×D15.0cm
- 持手長:約 41.0cm
- カラー:ブラック/レッド/金具:シルバー
- 素材:エナメルレザー/ベロア
- 内側:ファスナーポケット×1
- 付属品:シリアルシール/ギャランティ/純正保存袋/取扱/小冊子
シャネルを買取する前に簡単なリペアを施すことで美しい光沢を取り戻す
さっそく現状を調べていくと、いくつかのリペアポイントがあり、下記の赤丸の点で示してみた。まず外装面の全体的な汚れがひどく、白く曇りが出てきている。
表層は指紋や手垢・脂ジミと微細な擦れなどが多く、遠目で見ると、白っぽく見えてくるのである。
また中央のヘコミは、構造上へこみやすい特性があり、多くのブランドでも見られる現象である。この手のバッグが持つ基本的な弱点と言っても良い。
熱や湿気などで、伸縮収縮を繰り返すと、中央でダレが出てきて、たわんでくるのである。
次にリペアに移っていこう。まずは微細なキズをグラスファイバー研磨剤で表面を優しく拭いていく。次にドイツ製のクリーニングケアフォームで、一気に磨きを掛ける。
下記赤で囲っている面をケアフォームで磨きを掛けた面である。赤で囲っていない面との違いは一目瞭然である。
エナメル面の大半は、ケアフォームでピカピカにすることができた。あとは側面のチョコバー・ココマークライン面だけである。
この場合、側面は傷が少ないことから、グラスファイバーは使わず、アルコール除菌剤をココマーク面に塗布しているのが上記である。
脂分を取り除き、その後ケアフォームで、表層がガサガサしている面を中心に磨きを掛けると、キレイな光沢を取り戻すことができる。
シャネルブランドでも素材の状態の感覚から買取査定には評価が分かれる
ではリペアも完了したことなので、さっそくオークファン で相場データを見ていく。最も高額で、約 85,000円程度で落札されている。それから状態などにより徐々に価格が下落している。
数はあまり多くはなく、出るとすぐに売れてしまうようである。ただこの手のモデルは、数は少ないがコンスタントに出ることもあり、マメに相場を調べておけば出会える可能性は比較的高いであろう。

その後さっそく買取査定に出したが、価格はマチマチで高く取るところもあれば、非常に安価にしか見ていない業者もあり、評価が分かれるところである。
恐らく販売する時期なども考慮する必要もあり、またシリアル等の欠けなどもあり、今回の件では比較的相場とかけ離れた買取額であった。
リペア後の最も高い買取査定は、約 45,000円。リペアしていなければ、もっと低かったと業者から聞くことができた。
知人の女性がリペア前に、買取に持って行った際には、約 15,000円ほどの査定額しか得られなかったようで、納得できずに持って帰ったとの事である。
また、ギャランティカードとシリアルがセットになっていなかったら、さらに低い査定額となっていただろう。知人の女性も、約 3.0倍の額となって、納得の買取であったと言ってくれた。
リーズナブルな価格帯と収納力でデイリーからスポーツシーンまで幅広く利用可能
さてモデルについて少し説明しておこう。斜格子のマドモアゼルが、シャネルのモデルの中では定番であるが、比較的多くのモデルでパターンを流用される「チョコバーライン」も定番である。
格子が垂直に並んだ板チョコを想起させるデザインは、端正なフェイスラインを見せてくれる。表面は艶のある光沢が施され、面上は少しカーブがつけられている。
シャネルを初めて持つ女性や比較的若い女性にターゲットを絞りこまれた可愛らしさを備えたモデルでもある。
男性的に見える過度な長方形デザインにならないように、形状全体に丸みを採用している点も、コロンとしたフォルムと安定感の両方を表現することに成功している。
構造上のエナメルのボストン系バッグについての弱点は述べたが、同時に多くのメリットもある。そのひとつが比較的大きなマチがあるので、収納力が抜群であること。
内部素材がベロア系なので、肌触りが良く、女性が必要な道具類のすべてが収納でき、化粧ポーチ類などもざっくりと収納でき実用性の高いモデルである。
また、この手のデザインは多くのブランドでも踏襲される事から、正面のココマークが一目でシャネルブランドと判別することが可能だ。
大人の女性にとって、シャネルブランドは、社会的自立と高級を保有できる経済力の象徴を世間にアピールすることができるであろう。
大半のファッションシーンにも合うブラックカラーを採用していることで、デイリーからスポーツシーンまで幅広く使用することが可能である。
ただ、弱点としては、使い続け経年により、エナメル特有の汚れやスレが出やすいこと、持ち手が長期間使うと汗や脂分などで劣化しやすい。
また、ベロア素材は汚れが目立ちやすくカバンの構造上埃がたまりすい。定期的なメンテナンスが必要となるだろう。
シリアルシールが、内装面にそのまま貼られているので、劣化が起こりやすいので、購入した時に保護しておくことが無難であろう。
ラインとしては、カーフレザーをはじめ、様々な素材に用いられており、ポリエステル繊維で伸縮性のある生地である「ジャージーキャンバス」もしくはその他コットン系素材の方が、重さ 約 500g程度と軽量でキズが目立ちにくいので、個人的にだがオススメである。
ジャージーキャンバスについての「シャネル・チェーンショルダー」は、少し前に買取してもらったので、後日記録していきたいと思う。
高額に思われるシャネルでも実はリーズナブルに買えてしまうモデルが存在する
経済観念を磨く最適な手法は 「モノやサービスのもつ価値」 を知り、人よりもリーズナブルに効果的に使える手法を考え実践する事である。
モノやサービスのもつ価値は、あらゆる分野で、ある程度の相場が、アタマの中に入っていると何かと便利である。
例えば主婦は、日々食材における最適な質と価格帯をアタマに入れているが、それを高級ブランドに応用すれば、より経済的な効果が高くなる。
シャネルなどの高級ブランドが自分にはあまり関係ないと思う人も中には多く、高いというイメージだけで敬遠するのは、もったいない話である。

上記は、「オークデータ 」でシャネルのボストンとハンドバッグのカテゴリーで、約 5 年間の平均落札額を示している。
平均落札額は、当初 約 38,000~50,000 円付近を上下しているが、大きく上昇もせずに比較的安定しており横ばいである。
今回の相場よりも若干下だが、状態の良くないモデルも多く、ヴィンテージ商品が多いブランドの場合、似たような相場になる。
ただ、定番の人気でなければ、相場は即下落するので、安定的に相場を形成しているという事は、根強いブランド力と高い人気を維持できているからである。
また、シャネルの上記二つのカテゴリーで、ハンドバッグがボストンの約 4 倍以上の取引数を誇っており、ボストンというカテゴリー自体が稀少なモデルと理解できる。
そのミニボストン自体が、6~8万円程度を出せば購入ができ、経済的に余裕がある自分をプロデュースするときに「魅力を上げる為の効果的なアイテム」として使う事ができる。
中古市場では、比較的リーズナブルであり、チェーンショルダー等に比べれば、あまり気づかれていないが、安く買えてしまうシャネルの入門モデルなのである。